とんだ勘違いから






仕事の帰りにフロントを出たところトンと肩を叩かれて振り返るとミニのワンピースにロングブーツを履いたまこが立っていた。

まるでデート用の服みたいな、職場では見ない格好で。


「あれ、早引きしたんじゃなかったのか?」と声をかけると



「いいえ、社長に呼ばれて用事を言いつけられただけです。


終わってすぐに帰ってきましたよ。」


少し元気がなさそうだったが


「前田部長今日も行かれるんですか?玲のところへ?」

と俺と目をあわせるために上目遣いで話してくる。

俺より背が低いからただ見上げてるだけなんだが、俺はこいつが男だとはわかっているんだが、こういうふうに見つめられると目のやり場に困るようになってきた。


俺の一線が超えてしまいそうで。



「ああ。

少し飯食ってから行くつもりだったけど。」


と返すと


「一緒にご飯行ってもいいですか?」


「はっ?

一緒にか?」



俺と有本は近くのホルモン屋で飯食ってから玲のところへ行くつもりだったから


「多分、お前の好きそうなところじゃないぞ。有本も一緒だし。」


有本は目をキラキラ輝かせて



「川手さん一緒に行きましょうよ。

僕も一緒にれ。い。の店にも行きたいですしね?」

そう言ってれいのところを何かわかってないみたいに言っている。


「いいですよ。私の好きそうじゃないってところ気になりますし。

私好き嫌いないんですから。


有本課長も一緒なんて楽しそうじゃないですか?」


俺と二人でいると楽しくないような言い方がされた気がして


「そう、じゃ、ついてくれば。」


と少し突き放すような言い方をしたら


「任せてください、僕が楽しませますからね!」

とまこを挟んで俺と有本が歩きだした。



何となく有本との会話にまこが楽しんでいるのが面白くない。


だから俺は店につくまでほとんど話をしなかった。










< 30 / 102 >

この作品をシェア

pagetop