とんだ勘違いから


少し時間が立って戻ると有本が席を移動してまこの隣に座って肩を寄せ合うように真剣に話している姿を見て





「俺、帰るわ。


あと二人で楽しめよ。」


そう言って財布から金を出すと


「部長。これっ、違いますって



ちょっと待ってくださいよ。」


と有本が言うのも振り返らずに俺は店を出た。



有本がまこと一緒にいるのに嫉妬していたんだ。


むしゃくしゃした気分でハラが立ったから飲み直そうと俺は玲のバーへ一人で向かった。










「いらっしゃい、広隆、


まこは?


一緒じゃないの?」


と心配したふうに俺を見るから


「さー、置いてきた。

今頃俺の部下とうまくやってんじゃねーの。」

とジャックを持ってきた玲に言うと



「あの子、今日社長に呼ばれて用事言いつけられてたけど、結局仕事には戻らなかったのね。

ちょっと青い顔してたからやっぱり本調子じゃなかったんだわ。」





まさかっ


「俺、ちょっと出てくるわ。

すぐ戻るから。」



急いでホルモン屋へ戻った。


上目遣いで見ていたのは気分が悪かったんじゃないか。



ドアを開けると有本が困ったみたいにまこを支えていた。


「部長!、

川手さん、気分が悪いのに無理してたみたいで。


先輩がトイレに行ったら一緒に追いかけようとしてそのまま座り込んじゃって。


俺が隣に座らせたんです。」



「まこ、お前何やってんだよ。


そのまま家帰ったら良かっただろう。」

俺はこいつの頭に手をそえて俺の胸にもたれさせると






「気分が悪いって言ってもただの生理痛だから…..」


まこが恥ずかしそうに話すのを聞いて



「えッ


生理痛?」


少し大きな声になってしまい周りのみんなが振り返った。



「やだっ、そんなおっきな声で言われちゃ恥ずかしくて顔挙げれないです....」


そう言って俺のスーツをぎゅっと握りしめた。



俺は思わずまこを抱きしめて。



「すまない....


気付かなかった....


歩けるか?


帰るぞ。」


そう言うと首を降って歩けないと判断した俺はまこを肩に担がないでそのまま膝に手を入れて抱き上げた。


有本が外に出てタクシーを拾ってくれたのに乗り込むとそのまま、まこの頭を撫でてやるうちにまこは眠ってしまったみたいだった。




「なんだよ、生理痛って。


お前女だったのかよ。」





























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