とんだ勘違いから



「ご足労ありがとうございます。


今日は捜査のためにお伺いに参りました。


須藤と富田です。」


須藤さんは年配のベテラン刑事さんみたいで、もう一人は俺と同い年ぐらいの、背の高い男性だ。



「ご両親から被害届が出てましてね、

と言っても公でなくて、まだ公表できる段階ではないんですが。」


と言われたあとに


俺の元カノがお金目当てに結婚詐欺を働いているというのだ。


被害総額は何千万円と上っているらしい。



で、最初の被害者が俺では?ということで....


本名は金田聡子、その後名前を変えてはその女性になりすまして個人情報を盗み結婚の約束をしては行方をくらます。

「確か、前田さんが婚約していた時は、紗綾という名前だったのではないでしょうか?

ファミリーレストランで働いていたということでは?」


と聞かれ

「はい、そうです。」


その後俺から手切れ金としてマンションを与えたことを話した。


苦い思い出に気分が悪くなる。



ひと通り話を聞いたあと須藤さんが


「辛い思い出を思い出させてしまってすいません。

その後金田は同じような手口で何人もの男性から金を奪っているんです。」


「それじゃ、あの間俺は騙されていたっていういうことですか。」


「そうですね。

今捜査上で付き合ってる男性がかなりのお金持ちの方でね、

そちらのご両親が何かおかしく思って相談にいらしたっていうことで浮上したんです。」



それまでの男性は振られてそのまま泣き寝入りしてる奴ばっかりだったという。

俺がマンションを与えたのが1番の高額、その後は旅行資金とか、家族が病気とかで工面していたぐらいらしい。





< 68 / 102 >

この作品をシェア

pagetop