とんだ勘違いから


私たちは2駅先のホテルのロビーを歩いている。


部長が最上階のフレンチレストランを予約していてくれていたのだ。



「社長がまこはここのデザートが好きだって聞いてね。」

と話してくれる部長は少し照れてるみたい。



大人な部長がこうやって時々見せる会社以外での姿にもっと胸がキュンとして好きになっていく。


そっと手をつなぐと、ん?とまた照れてしまったみたいだけどぎゅっと握り返してくれた。



そしてロビーを抜けてエレベーターに向かっていた時二人の男性が座って話しているのを見て


嫌な予感がした。。









私のお父さんと元カレが一緒にいたから。







私の顔がソファーに座って話している二人を見ているのに気付いたのか、部長が



「何?


知り合いがいた?」



と何も知らないから普通に話してくれてるのは頭ではわかるんだけど



「えっ、あ、うん」


普通に返せないのに気付いて


「もしかして元カレ?」


と言われギクッと驚いた私に



「やっぱ、そっか。

こんな高級なホテルだからもしかしてまこの知り合いとかいるかもって思ったけど、…」



なんていいながらもギュッと握った手をもういちど握り返して指を絡めてきた。



それだけでも安心させてくれる部長。



顔を戻して彼を見ているとふと私が見ていた方向から声がかかった。





「まこと?」









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