とんだ勘違いから

と呼ばれて部長がそっちの方を見る。


「お父さん‥.」



私が返事したのを聞いて


お父さん…と部長がつぶやいた。



「何やってるんだ、あ、今からバーリーへ行くのか？」


と私の好きなレストランの名前をあげるから



「そうだけど。

お父さんはどうしてここにこの人といるの?」


もう名前も言いたくない。



それほど私の心を踏みにじった人。



「あ、ああ、それは、その、だな。」


ポリポリと頭を掻いて言い訳を探してるみたい。



そこにこの人が口を割ってきた



「俺がお願いして会ってもらってたんだ。


これが初めてだ、

まことと別れてから。




綺麗になったな。」


ニコッと微笑みかける元カレに昔の苦い思い出があるため笑うことなんてできない。



「まこと、こちらの方は?」


とお父さんが割って入ってくれた。



「あっ、こちらは部長の前田さん。」



「ああ、水友の方か。


私はまことの父の川手郁夫です。」


そう言って手を出したお父さんが手をつないでいる私達に気付いて



「あ、え？

これは?」


と驚きを隠せない。


お母さんには話しているけどお父さんは全く知らないから。



「お父さん、私この人とお付き合いしているの。」