とんだ勘違いから
「ああ。

あの時いた彼広陵さんというのか。



佐々木君とは会ってたよ。



昔のこともそりゃ覚えているさ。」







どうして平然とそんなことが言えるのか私には理解不能だった。





「けど、まことの元カレと最初から知っててあったわけではない。

光信君のお父さんから紹介されて会ってたんだ。



そりゃあ、俺も驚いたさ。


まさかあの時の馬鹿野郎がパティシエになってたんだからな。」



「どういうこと?」



一体何を言っているの、お父さん。


パティシエってそんなこと昔は全く興味もなかったみたいな感じだったのに。



「このケーキも佐々木君が作ったものだ。


食べてみるといい。」





ケーキを見つめて私は動けないままだった。









その後どうやって家まで帰ったのか覚えていない。



お父さんが話してたのは


お母さんの50歳の誕生日パーティーを盛大にするためにケーキを頼んだってこと。

光信君のお父さんが奥さんの靖枝おばさんが友達になったというからその経由で紹介されたって。


顔を見るなり土下座して謝ってきたと言ってた。


また私達の家族を陥れる為にやってきたんじゃないかと私は気が気でない。




靖枝おばさんは体に持病を抱えてるけどとっても気丈で優しい人。


その人にどうやって取り入ったのか、



海は今更何のつもりで私達に近付いてくるのか。
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