とんだ勘違いから
あっという間に金曜日になって私と広陵さんは会社を一緒に出た。
今日は私が広陵さんのところに行って晩ごはんを作るから。
「で、何作るんだ?」
なんて聞いてくる広陵さんに、
「あんまり難しい物じゃないですからね。期待されると困るじゃないですか。あははは。」
何がいいかずっと考えて、私が作ることにしたのはスパゲッティ。
カルボナーラソースにサラダ、パン屋さんでバケットを買って、ワインも添えたほうがいいのかな。
広陵さんと会社帰りに寄るスーパーマーケットで材料を選んだ時点でバレちゃった。
流石に鋭い。
二人で寄り添って帰る途中に
「デザート買って帰ろうか。
このケーキ屋美味しいって評判らしいからな。」
と限定のケーキは朝で売り切れるらしいけど、その他も美味しいって言われてると彼の同僚の鈴木部長が奥さんに買って帰る店があるって。
私も興味津々でその店に入ると、ショーケースには美味しそうなケーキが並んでいた。
「うわー、美味しそうですね。
何食べようかな。
広陵さんは?」
と言ってケーキを見ていると隣で予約したのであろうケーキをとりに来ていた男性に、厨房からパティシエが出てきた。
「いらっしゃいませ。
あっ。まこと?」
そう言われて顔を上げると目の前に海がいた。