とんだ勘違いから



「あっ、チーズケーキがなんで」


私はすぐに海が入れたんだとわかった。



「まこ、チーズケーキ好きなのか?」


という広陵さんに


「....   昔ね。」


そう、昔海と一緒に食べたのはいつもチーズケーキだった。


それは私が彼に合わせていたから


彼が一口食べて、あとは私が食べていたから。



私の好きなものより彼に何でも合わせていたから。


海の好きなものイコール私の好きなものというふうに思っていたんだろう。



だから、


「本当はショートケーキが好き。


こっちが食べたい。」


そう言って私はショートケーキを皿に出した。


少し怒ってるみたいな広陵さんのことを見つめると




「あんまり、見るな。


妬いてんだから。」


と恥ずかしそうに目を合わさないから




「広陵さん、私テーブルで待ってますからお茶お願いしますね。」



と言ってケーキを持ってその場を離れた。








お茶ををトレイにのせて戻ってきた広陵さんがソファーに座ったから



「広陵さん、食べてください。」




と最初の一口を広陵さんの口元に運んだ。

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