我 、君ヲ愛ス…っ⁉︎
「だ、誰かいるんですか?」
月明かりに照らされた石段以外、辺りは真っ暗闇。
誰の姿も見えなかった。
でも、今も人の気配は続いている。
「あの……誰かいるなら、出てきてください!」
再び暗闇に語りかけても、誰も答えてはくれなかった。
だけど、
ーージャリ……
誰かが、砂利を踏んだ足音が、確かに聞こえた。
「誰っ……誰なの」
声が、震えた。
声だけじゃない。
手も足も……全身が震えていた。
次第に、私の呼吸が浅く……そして速くなっていく。
………あれ、誰かいる?
目が暗闇に慣れてきたのか、それとも誰かがどんどん私に近づいてきたのか……一瞬だけど人影が見えた。
「……そこに、誰かいるの」
ーージャリッ‼︎
砂利を踏む音が、一回目と違って大きい。
まるで、誰かがこちらを振り返ったように。
……間違いない。
ーーー暗闇の中には、誰かいる。
「……木の下に、いますよね……?貴方が今いる木の根元には……一本だけ小さな青い花が咲いてる」
ーー‼︎
刹那、冷たい風が私を通り過ぎた。