我 、君ヲ愛ス…っ⁉︎
「……は?」
静かな奥社に響いた、誰かの声。
何処から聞こえたものなのか、全く分からなかった。
人影があったあの方向から聞こえたわけでもない。
四方八方を見回しても、違う。
もしかして上からしたんじゃ、
あれは天の声だったんじゃないか……と思えたなら、まだ可愛げがある。
だけど、違う。
声の主は、このどれでもない。
どこからも声なんてしていない。
私にはそうとしか思えなかった。
何故ならそれは、……私の頭の中に直接響いていたから。
「なに……っ、なんなのよ」
自分を抱き締める両腕が震えた。
正直、もう立っていられない。
気を失ってしまいそうだ。
だけど、このまま意識を離しては駄目だと、心の中の警報が煩く鳴り響く。
『ーーもし』
「ーーいやっ‼︎‼︎」
私は、声を遮るように叫ぶと、自らの耳を塞いだ。
『どうか、怖がらないで……』
「いや……嫌嫌いやぁぁぁぁぁぁぁあ」
耳を塞いでも、声は鮮明だった。
こうなればもう、間違いない。
声は、私の頭の中からしている。
若い……男の人の声が……