我 、君ヲ愛ス…っ⁉︎
「……もっ……やめてっ……くっ」
そろそろ精神の限界がきたのか、まるで糸が切れたかのように、私の身体は崩れ落ちた。
視線は、石畳の方々を行き来する。
焦点が合わない。
目が回る……。
「……ぅ……っ」
身体が、上手く動かせない。
呼吸が上手くできない。
怖い……苦しい……
言葉では言い表せないほどの恐怖が、頭中を駆け巡る。
……お願い……だれか
ーーーー誰か、助けてっーーー
ーージャリっ
心の中でそう叫んだ時、また砂利を踏む音が耳に入った。
「ぁ……ぁあ」
来ないで‼︎
近寄らないで。
そう叫びたくても、言葉にならない。
ーージャッ
足音が私のすぐ近くで止まった。
もうダメだ……。
そう思い、硬く目を閉じたその刹那、突然誰かの大きな手が、私の頭を優しく撫でた。
「っ……‼︎」
『ーー大丈夫、ですよ』
「ぁ……」
まるで春の日差しを浴びたかのように、冷え切っていた身体が、ぽかぽかと熱を帯びていく。
『どうか……怖がらないで下さい』
声はひどく優しいく、心の奥まで浸透していく。
大きな手は、私の震える両手を包み込んだ。
大きくて……硬くて……そして何よりゴツゴツしている。
手は私より……
ほかのどんな人よりも、低い体温。
それでも、何故か温かく感じる。
そんなの信じられないと笑う人もいるだろう。
私だって……もしこの場にいたのが自分じゃなかったら、信じなかった。
だけど、この手は……私を包むこの大きな手は……温かい。
その証拠に、手の震えはいつの間にか止まっていた。