メガネと海と空の色
「へー! 確かに、教えるのうまいし向いてそうだよね!
何で教師になりたいの?」
「両親とも教師だからよ」
「憧れ的な?」
「別に憧れてはいないわ。両親との仲もそんなによくないし。
必然的なものね。ほら、八百屋の子は八百屋を継ぐ、みたいな」
「…それって楽しいの?」
その言葉に、答案を採点していた手が止まった。
「…楽しいもなにも、だって…やらなきゃいけないし」
「そう! それ! 樹ちゃんってさー、
いっつも"やりたい"じゃなくて"やらないといけない"なんだよね!」
「それの何が悪いの?」
「たまには、やりたい! って思う事やりなよって事!」
何を思うわけでもない。
ただ、考えた。