メガネと海と空の色



別に気にはしてない。

置き勉は一切やめて、上靴も持って帰る事にした。

移動教室で荷物を管理できない時は、
ロッカーに入れる。

一人一人に与えられるロッカーを開けるには鍵が必要だし、
まさかロッカーごと盗むわけにもいくまい。

案の定、物は無くならなくなった。

嫌がらせもやんだかと思った一週間後、
次は机に落書きがされていた。


「…古典的ね」


落とすのも面倒だし、どうしようか。

かといってこのままだと、制服や教材を汚してしまう。

憐みのような好奇のような視線を浴びせられながら、
机を眺めて悩んでいると、どかどかと乱暴な足音が聞こえてきた。


「…吉田くん?」

「大丈夫だから!」


一体何がだ。

私が気にしてるとでも思ってるのだろうか。



< 5 / 44 >

この作品をシェア

pagetop