メガネと海と空の色



「…ありがとう。でも、落ちついて。

ほら、ね? 私は平気だから」

「でもっ」

「みんなも、気にしなくていいわ。

面倒な事には関わりたくないわよね。わかってる」

「樹ちゃん…!」

「私が気にしてない事を気にしてどうするの」


納得のいかなそうな雅人に苦笑を漏らすと、
叱られた子どものように唇を尖らせた。


「…樹ちゃんが気にしてないからだよ。

好きな人を守りたいって、思ってるだけ」


またここでも告白か。


「…はいはい」


まだ泣きそうな雅人の髪を撫でて、
バケツを片づけようとする。



< 9 / 44 >

この作品をシェア

pagetop