桜ノ華
どうせいつかは自分も、
容姿しか見ていない"どこぞの御曹司"とやらの嫁に行かされるのだろう。
もう高校3年生、18歳の誕生日も迎えた。
それは遠い話ではないかもしれない。
そう思うと、恋愛する気にもならなかった。
だがそんな桜にも、憧れの人がいた。
「南十字(みなみじゅうじ)様よ!!」
誰かの声に、皆が振り向く。
桜も例外ではない。
「…南十字様…」
桜の憧れの人、南十字 啓志(みなみじゅうじ けいじ)。
この成瀬川学園の生徒会長を務める男。
南十字財閥の次期当主という立場を約束されている。
眉目秀麗、文武両道。
何をやらせても完璧というパーフェクトさは、
ある意味桜の美しさと並び人間離れしていた。