桜ノ華
「いやー、ごめんね。僕、見ての通り落ち着いた大人の男性とかじゃないからさ。
だからもっと気楽にしていいよ? むしろその方が嬉しい!」
拍子抜けだった。
「改めまして、よろしく。会えて嬉しいよ。三崎 颯介(みさき そうすけ)です」
物腰が柔らかくて、御曹司特有の弱々しさや、無意識に威張っている感じがない。
むしろどちらかというと、"爽やか系イケメン"ではないだろうか。
「卑怯な手を使ってしまったけど、こんな縁談を受けてくれてありがとう」
「…いえ」
「それでも、僕は君が好きだから。これは本当だから」
少しだけ伏せていた目を、颯介に向ける。
真剣な眼差しがこちらに向いていた。
恥ずかし気もなく素直に向けられた好意の言葉に、
思わずこちらも驚いてしまって。