桜ノ華
「パーティで君を見かけて…本当に見かけただけだから、
話とかは全然してないんだけど。それでも、気になって…」
「…光栄です」
「そう! その笑顔!」
「え?」
「すっごい作り物みたいだなって」
どくん、と心臓が鳴った気がした。
「作り物のように美しい」と言われることはあっても、
「作り物」だと言われることはなかったから。
「色々我慢して、それでも義務としてそこにいる感じ…っていうのかな」
見破られたことなど、なかったのに。
「あっ、いや、別にそれが気に入らないとかじゃないんだ!
ただ、なんか…ほっとけないなあって思っちゃったんだよねえ」
へらりと、緩い笑み。
何だかこちらまで力が抜けてしまいそうだ。