桜ノ華



恋ではない。憧れだ。

関わった事は無い。ただ見ているだけ。

それだけで満足だった。

同じ学年にあんな人がいる、
それだけで名誉な事だと。







「…気持ちいい…」


昼休みの裏庭。

春には桜が咲き誇り、
夏には木々が熱い陽を遮る。

秋には紅葉が舞い、
冬には外界から隔離してくれているような気分になる。

裏庭の、更に校舎からは絶対に見えないこの場所は、
桜の特等席だった。



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