桜ノ華



「静かな場所を探していたんだ。

隣に座っても構わないか」

「は、はい! もちろんです…!

あ、あのでも、汚れちゃうかも…」

「構わない」


気にする様子も無く、草の上に腰を下ろした啓志。

ふう、と落ち着いたように息を漏らした。


「お互い、周りに騒がれる者は大変だな」

「へっ」

「"桜の君"?」

「ああああっ、やめてくださいそんな呼び方…!」


"桜の君"とは、桜がもっとも嫌がる呼び方だ。



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