桜ノ華
…でも。
「知ってる? 三条が南十字に吸収されたんだって!」
「え? じゃああの二人別れてなかったの?」
「でも、南十字さまの縁談も正式に決まったって…」
桜が颯介と結婚したように、
啓志も婚約していた。
大学内で囁かれる噂が、桜の胸を締めつけて。
「桜!」
「颯介さん…! どうされたんですか?」
「ごめんね、僕が至らないせいで君にまで辛い思いを…」
「そんな…私は平気です。颯介さんこそ、お疲れのようですよ。
どうかご無理なさらないでくださいね」
「桜…」
「おや、三崎の当主さま」