桜ノ華
「前から、俺と君は似ていると思ってたんだ」
「私と…南十字様がですか?」
身分の違いと憧れが邪魔をして考えた事も無かったけれど、
確かに人の視線を集め周りに騒がれる、
という点ではそうとも言えるかもしれない。
「そうだな。桜の君が嫌なら、名前で呼ぼうか」
「え、」
「…桜」
信じられない。憧れの人に名を呼んでもらえるなんて。
その双眸が、自分に向いている。
穏やかな笑顔を向けてくれている。
何を言うべきかと空気を吸い込んだ時、
チャイムが鳴り響いた。
「…また」
「え、あ、あっ…はい!」