桜ノ華
その後桜は颯介と離婚し、大学を中退した。
全ての手続きは啓志が行ったため、詳細は知らない。
颯介とは会うことすらなく終わった。
そして、南十字の屋敷に住み始めた。
住み込みの使用人として働きながら、啓志の傍にいることを選んだのだ。
堂々と啓志の傍にいるには、その道しかなかった。
―「すまない。婚約破棄は、できなかった」
―「だけど俺は、君と離れるなんてできない」
まるで愛人のような関係。
それでも啓志に愛され傍にいられるなら、何だってよかった。