桜ノ華
―・・・
「一週間ほど出張で家を空けることになった。荷造りを頼む」
「わかりました。いつからですか?」
「3日後だ」
着替えを手伝い、広いその背中を眺める。
ぱさりと手からシャツが落ち、
気づけばその背中に抱き着いていた。
「…桜?」
「…少しだけ…」
「…何だ、寂しいのか?」
悪戯っぽく問い掛けるその声を、久しぶりに聞いた気がした。
「ずっと、ずっと…恋しかったです…」
―あの頃よりは穢れてしまったけれど
それでも私は少しも後悔していません