桜ノ華
驚いた。
まさかここまで来て、三条の関係者に会うなんて。
「…三条は…私のせいで、無くなったんです…」
そして、涙が溢れる。
「おや、あんたも三条の人間かい?」
「…5代目の娘です。三崎に嫁ぎましたが…出戻り、というか」
「そうかそうか。あんたにも色々あったんだねえ。
ここでゆっくり、傷を癒してお行き」
深く聞かれることもない、責められもしない。
押しつけがましくもない優しさが身に染みた。
「…あの、どこか、住み込みで働ける場所とか…ご存知ないですか?」
「住む場所を探してるのかい?」
「はい。…この町に、住もうと思って」
「なら、ここに住むといい。何、私は長年独り身でね。気を使うことは無いよ」