桜ノ華
彼、陽人(はるひと)は苦笑いを零した。
「さ、じゃあ身の回りに必要な物揃えに行こうか!」
「あ、待って、俺もう帰れるから車出すよ」
「おっ、気が利くねえ。じゃあ家で待ってるよ」
「うん。あ、役所も行こうね、桜さん」
「はい、お願いします…!」
白衣を翻し、陽人は歩いて行った。
「どうだい? 我が息子ながらいい男でしょう」
「はい、優しくて爽やかで、素敵な息子さんですね」
「お腹の子の父親にもお勧めだよ~」
その言葉には、曖昧な笑みで返した。
―・・・