桜ノ華
「ただいま戻りました」
「お帰り。ご飯できてるよ」
「わあ、ありがとうございます! いい匂い…」
「ほら、晴海(はるみ)さんと陽人も食べて行きな」
「ありがとうおばあちゃん、お邪魔します~」
「おばあちゃん、久しぶり」
「おっきくなったねえ陽人。私が病気したらよろしく頼むよ」
「ははっ、俺の専門は産婦人科だからちょっと無理かな」
血は繋がっていないはずなのに、本当の家族のようなやりとり。
不思議で羨ましくて、でもそこに自分も混ざれていることが、
嬉しくてこそばゆい。
「ん! おいしい…!」
「おばあちゃんの料理は相変わらず絶品だね!」
「何言ってんだい、定食屋の女将が」
「おばあちゃんには負けるさ!」
思えば、こんなに人の温かみを感じられる食事は初めてで。
思わず目が潤んでしまう。
「…桜さん?」