桜ノ華



だけど思い出すとやっぱり、会いたくなってしまう。


「…元気でしょうか、啓志さん」


海を見つめ思いを馳せる。

そこまで遠くに来たわけじゃない。

会いに行こうと思えば会うこともできる。

でもそれをしないのは…


「…でも私、今はあなたの方が大切なの」


それは既に"母"の顔だった。



―・・・



「さむ…」


季節は冬。

雪こそ降らないけれど、寒いものは寒い。



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