桜ノ華
「こら、桜! そんな薄着で外に出るんじゃないよ!」
「わ、おばあちゃん。おはようございます」
「あんたは、まったく…」
身体にばさりとはんてんをかけられると、
ふわりとした温かさに包まれる。
「今日は冷えるねえ。晴海さんと陽人を呼んで鍋でもしようか」
「鍋?! 私初めて…!」
「おや、じゃあ楽しみにしておきな」
「はい!」
すっかり重たくなったお腹を抱え、ストーブの傍の座椅子に座る。
お腹を撫でる動作は癖になってしまった。
―あなたこんな暮らしをしたかったと
願ったこともありました