Blackberry〜黒い果実〜
「やあ」


しっかりと夜への準備を終えた空。
でも、そんな時間を感じさせない駅前の賑やかな光の中に、竜司は片手を上げて立っていた。


昼間と同じ姿で。


“ここにバレたらまずいんでしょ?”


ボソリと呟かれた彼の言葉を思い出す。
ドクン、と激しく脈打つ鼓動。


バレた時の様々な状況が頭の中を駆け巡る。
クビ?
お父さんにバレる?
双葉に嘲笑われる?


……私が私でいられなくなる?

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