Blackberry〜黒い果実〜
一つ二つ、三つ……。


「ホントはイヤなんだろ?」


先輩の言葉に見入ってしまっていた札束から、視線を引きはがす。
顔を上げると、先輩はうっすらと笑みを浮かべていた。


先輩の口元が動く。


「ホスト」
「真面目なお前のことだ。女を騙す仕事なんてしたくないんだろ?」


そう言ったあとに、肩に手を置かれた。
札束の下敷きになっていた履歴書が引き出される。


「……こいつを落としてほしい」

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