Blackberry〜黒い果実〜
雑踏が喧しい。
目を閉じていても、人の気配が絶えない。


“昼間の仕事を辞めさせろ”
先輩の言葉を思い出す。


深く、深く息を吸い。
細く長く迷いとともに息を吐き出した。


目を開けると、雑踏の中に履歴書の彼女を見つける。
違うのは髪が黒いことと、元々薄い化粧がごく薄いナチュラルメイクになっていること。


「やあ」


僅かに片手を上げて声を出す。
気づいた彼女が駆け寄ってきた。


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