Blackberry〜黒い果実〜
「ごめんなさい。待ちましたか?」


“公務員って、副業はダメだよな?”


「いや、俺も仕事終わったとこだから」


“彼女は昼間、市役所に勤めている”


思惑を隠すかのように、仮面のような屈託のない笑顔をつくる。


自分に言い聞かせるために先輩の言葉を思い出して反芻する。


“何人も騙すわけじゃないんだ”


そうだ、ただ一人でいいんだ。
彼女だけで……。

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