Blackberry〜黒い果実〜
「……ちゃん」


「若葉ちゃん?」


気が付くと名前を呼ばれ、立ち尽くす私がいた。
彼は私の顔を下から覗き込むように見て、少し残念そうな顔をする。


「ゴメン、イヤだった?」


そう言いながら、繋がっていた手を挙げる。


なんでこの人は私に優しくするんだろう?
なんの取り柄もない“一葉”の私に。


「イヤです」


と、小さくぽつり呟いた。


「若葉って呼ばないで下さい」

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