Blackberry〜黒い果実〜
繋がれた手は離されることなく導かれ、彼の横をついて歩いた。


ふと、彼が店を指差す。


「ここでイイ?」


歩みを止めると、目に入った店は何度か来たこともある個室の居酒屋。


「私はどこでも……」


「じゃあ、入ろ」


そう言って彼の繋いだ手に力が入る。
引っ張られるように店内に入り、個室に案内された。


すっ、と彼の手が解かれ、繋いでいた熱だけが手の平に残る。

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