Blackberry〜黒い果実〜
「タクシー捕まえてくるよ」


彼がそう言って、走り出そうと振り返ったときに声を掛けた。


「竜司さん……」


その言葉に振り返り、私を見つめる彼。


「どうしたの?」


「あの……、また、会ってくれますか?」


何かを確認するように言ってしまった言葉。
拳をぎゅっと握って答えを待つ。


「イヤだな」


期待していた言葉ではなかったことに、一瞬鼓動が跳ね上がる。

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