Blackberry〜黒い果実〜
ぎゅっと目を閉じる。
耳までも塞いでしまいたい気持ちだった。


軽く頬に触れる感触。
近い言葉。


「また会いたいけど、その“竜司さん”ってのはイヤだ」


目をそっと開けると、すぐ横にある彼の手。
目の前に見える笑顔。


その笑顔がさらに綻んだ。


「“竜司”でいいよ」


何故かそれがとても嬉しくて、まともに返事も出来ないまま、ただ頷くだけだった。

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