Blackberry〜黒い果実〜
気がつけば空は赤みを帯び、少し肌寒くなってきた。
ぼんやりと光りはじめた街灯が桜を照らす。


五分咲きを過ぎたころの桜は風が通るたびに、花弁を散らす。


肩に降りてきたそれを摘んで、思わず苦笑を漏らした。


今にも消え入りそうな薄紅色の唇を思い出している自分に。


中々に重症だな。
忘れる努力をこんなにもしているのに。


一夜の関係が俺を狂わす。

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