Blackberry〜黒い果実〜
「じゃあ、お疲れ様」


そう言いながら慎は片手を挙げて部屋に戻っていった。
それを見送ってから店の外に出ると、寒さに肩がブルッと震える。


吐き出した息が白い。


コートのポケットに両手を入れて昇っていく白い吐息を見つめた。


月のない夜空。
遮る光のない空に、他の星々が競っているかのように自分の存在を主張している。


まるで、今の私のように。

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