Blackberry〜黒い果実〜
腕を掴んでいる竜司の手が、力強くなる。


「起きるまで一緒にいてくれない?」


私の悩みを全部包括してしまうように、竜司の言葉が優しく包んでくれる。
竜司だけを見て、竜司のことだけを考えて静かに答える。


「……うん」


必要とされている。
たったそれだけで、暗い影は姿を消してしまった。


そっと、捕まれていた腕を抜いて、竜司の手を両手で包む。
“ありがとう”と、心の中で呟いて。

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