Blackberry〜黒い果実〜
繁華街の境目にある橋まで来ると、人もまだらになってきた。


あと、もう少し。
先に見える自販機の角を曲がればマンションはすぐそこ。


私が私に戻る時間だ。


ふと、繁華街の方を振り返る。


いつもそうだ。
この場所まで来ると、言い知れない虚無感に襲われる。


まだ……、戻りたくない。


でも、戻らなきゃ。


そんな気持ちが、後ろを振り向かせるんだ。

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