Blackberry〜黒い果実〜
……寒くなったらイヤだなあ。


クローゼットを開いて、薄手のカーディガンを手に取る。
部屋の姿見で、それを重ね合わせた。


薄いピンク色が可愛くて、鏡のあたしはニッコリと笑顔を作る。


少し遅刻しちゃってるだけ。


と自分に言い聞かせて。


携帯を開いて見ても、着信はゼロ。
もちろんメールも来ていなかった。


『愁ちゃん起きてるぅ?』


ウザくないように、それだけを打って送信した。

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