Blackberry〜黒い果実〜
部屋を漂うコーヒーの香りで目を覚ました。


ベッドから上体を起こして、すっかりと明るくなった部屋を見渡す。


廊下にある小さなキッチン。
そこに見える一葉の後ろ姿。


微かに聞こえる鼻歌が、一葉の上機嫌さを表しているようだ。


なんだかその背中が妙に愛しくて、自然と表情が緩んでしまう。



……愛しい?



ハッと我に帰る。
一葉が振り返ったからだ。

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