Blackberry〜黒い果実〜
覗き込むように、下からのアングルで俺を見つめる一葉。


「行こうか」


ベッドから下りて、一葉の頭を軽く撫でる。
グロスを塗っているわけでもないのに、艶のある桜色の唇。


吸い込まれるように、そこに自分の唇を重ねた。


甘いコーヒーの味。


顔を離すと、少し照れている一葉。
そのまま手を差し出す。


そっと掴まれる手。


好かれる資格なんてないのに……。


この手を離したくない。

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