Blackberry〜黒い果実〜

付け慣れた手つきで、ウィッグを留めて鏡で最終チェック。
鏡の中にはいつも通りの若葉がいて、それを眺めている竜司がいた。


「可愛いね」


竜司のニッコリと笑う顔。


「でも、俺は一葉の方が好きだよ」


そのままの顔で、さらりとそんなことを言ってくれる。
それがとても嬉しくて、鏡越しに笑顔を返す。


竜司が傍にいてくれるのならば、私は私でいられる気がする。