Blackberry〜黒い果実〜
鏡を見ながら、受話ボタンを押した。


「はい」


『久しぶり、になるのかな?』


鏡越しの竜司に見えるように、左手の人差し指を立てて唇に当てる。
ジッパーでも閉めるかのように、人差し指と親指をくっつけて口の前を横になぞる竜司。


その姿に思わず笑ってしまいそうになるが、少し澄ました声で答える。


「そうですね。そろそろお名前も忘れちゃいそうなくらいお久しぶりです」


『かぁ〜っ。冷てぇこと言うなよ。今日はいるんだろ?』

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