Blackberry〜黒い果実〜
そう呼ばれて、ハッと若葉に帰る。
目の前には佐藤さんのグラスを持っている自分の手。


いけない。
今は仕事中なんだから。


心を深く沈めて、ニッコリと笑顔を装う。


「はい。どうぞ」


渡されたグラスを受け取りながら、私の顔を見つめる佐藤さん。


「ちぃっと見ねえうちに、若葉ちゃん綺麗になったんじゃねえかい?」


“こりゃあ、男でもできたかな”なんて言いながらグラスを傾ける。

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