Blackberry〜黒い果実〜
これで……、きっと忘れることが出来るかもしれない。


なにも無かったことにしよう。
波打つ水面が静かになるのを待つように、揺蕩う(たゆたう)心を鎮めよう。


「はじめまして、高瀬と言います。あまりイイ男ではないですけどね」


営業用のスマイルに一足しして、真っ直ぐに彼女を見つめる。
佐藤社長がニヤリと笑いながら、彼女を指差した。


「どうだい、何て言うかイイ女だろ?」


大丈夫。
もう水面は揺れない。

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