Blackberry〜黒い果実〜
零した言葉を追いかけるように、桜並木を走り抜ける足音が聞こえてきた。


藍色のツナギを着た男の人が、あたしの横を走り抜ける。


音に上げた視線が捉えたのは、見覚えのある顔。
お姉ちゃんの隣にいた男の人。


この前とは違いすぎる後ろ姿に、気が付けば後を追っていた。


幸いにも、軽く走っていたんだと思う。
女のあたしでも離されることはなかった。


何をしているんだろうという疑問と、お姉ちゃんの相手が気になる気持ち。
そんなことを考えているうちに、藍色のツナギが工場みたいなところに入っていく。
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