Blackberry〜黒い果実〜
「愁ちゃん、もう一軒行こ!も、一軒」


指を一本立てながら壁に向かってそう喋る社長は、誰がどう見ても立派な酔っ払いだった。


いや、酔っ払いに立派も立派じゃないもないけど。
言うならば、完璧な酔っ払い。


うん。
そっちの方がしっくりくるな。


そんなことを考えながら、社長に近付いていく。


「社長。社長! 僕はこっちですよ」


「おう! どこ行ったんだよ。いきにゃり壁になりやがって」


と言いながら、まだ壁と向かいあっている社長にため息が漏れる。

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