Blackberry〜黒い果実〜
胸元から取り出した携帯でタクシーを呼ぶ。
待っている間に、社長は地面に座り、そして電池が切れたように大人しくなった。


その隣に座り、タバコに火を点ける。


少し飲み過ぎたかもしれない。
元々そんなに強い方ではないのに、社長に付き合うといつもこうだ。


飲んでいる間はまだなんとかなる。
仕事の延長だからと、気を張っているためだ。


だから、気を緩めた瞬間に一気に酔いが回ってくるんだ。


目の前に停まったタクシーのクラクションで、長くなっていたタバコの灰が落ちた。

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